民間から工場用地を取得する場合のリスク~インド進出成功術(3)

インド進出企業の守護神、経験30年の国際弁護士原口です。

 

三日目の今日は、インドにおける工場用地を民間から取得するリスク、

すなわち、インドにおける土地の所有関係の複雑さについて述べます。

はじめに

インドには、若くて、技術に明るく、人件費も安いインド人労働者が沢山います。

彼らを沢山雇い、安くてよいものを作って、13億人の巨大市場で売却したり、

中東やアフリカに輸出し、あなたの会社が大成功することも十分に可能です。

 

まずその第一歩は、工場用地の取得です。

もとよりインドでは非居住者はインドの土地を取得したり、賃借することはできません。

しかし、インドに子会社を設立すれば、

インドの土地を取得したり、賃借することも可能です。

ただ、実務上、工場用地として、期間99年の超長期の土地の賃借権を取得しています。

 

土地の所有者との間で賃借権の設定契約を結び、契約書の中で重要な事項を証明する

譲渡証書を作成し、登記所に登記をします。

登記に際しては、不動産の市場価格又は実際の売買価格のいずれか高い方を基準に

一定の料率の印紙税と登録税を支払わなければなりません。

土地の賃借権を取得する場合には、賃貸借期間(通常99年)の予定総額を基準に、

一定の料率の印紙税と登録免許税の支払いが義務付けられます。

 

それではこの土地の賃借権を誰から取得すべきでしょうか。

 

民間から取得するのはやめておいた方が無難です。

後で本当の所有者から、訴訟を起こされ、

最長20年を超える裁判に巻き込まれるリスクがあるからです。

 

 

インドにおける土地の権利関係

 

昨日、一昨日とお話をしたように、インドは89年間もの間インドの植民地でした。

したがって、インドの法律は英国の法律制度の影響を強く受けています。

土地に関する権利関係は同じといっても過言ではありません。

 

ただ、法律は同じでも、制度を運営する人が違い、英国に比べて、

インドの土地を巡る法律関係は明確ではありません。

そしてこの関係は、現地の弁護士が調べてもはっきりしないのです。

 

ですから、インドでは民間から土地を取得するのはやめておいた方が無難です。

 

 

インドにおける土地の所有関係

英国の土地の所有関係の調査

まずインド法のベースになった英国法上の土地制度ですが、日本との一番の違いは、

登記簿がないということです。

 

したがって、英国においては、現在の土地の所有関係を確認するために、

登記された譲渡契約書を手掛かりに、現在の土地の所有者の所有権について、

それ以前の所有者との間の売買契約などを遡って調べる必要があります。

 

場合によっては、何十年も前の所有者から、現在までの所有者の間の売買契約などを

調べる必要があります。

これは通常英国の弁護士の仕事です。

 

インドにおける土地の所有関係の調査

 

インドにおける土地の所有関係の調査も、

英国における土地の所有関係の調査と同様に、

登記簿謄本はなく、現在の土地の所有は登記された譲渡証書を手掛かりに、

現在の所有者から、

それ以前の所有者までの権利関係を遡ってゆかなければいけません。

 

インドでは最低でも30年前までの所有者を確認する必要があります。

この作業には、インドの弁護士の協力を仰ぐ必要があります。

とはいえ、インドの登記所の譲渡証書の登記状況や保管状況は

英国に比べて極めてずさんなものです。

 

したがって、インドの弁護士が、譲渡証書を手掛かりに所有関係を確認しても、

30年も前の土地の所有関係を正確に把握することは困難です。

折角あなたの会社が高いお金を支払って、

工場用地用に大きな土地の賃貸借契約を締結し、

譲渡証書を作成して登記をしても、あとから真の所有者なるものが現れることがあります。

 

そして、そのものとの交渉がうまくゆかないと、すぐに裁判になり、

20年以上も裁判に巻き込まれ、時間と費用を無駄にすることになります。

 

民間からの土地の取得や賃借権の取得は避けたほうが無難です。

 

 

最後に

 

インド進出の第一歩として、工場用地の取得ないし賃借があります。

インドでは、工場用地として、期間99年の土地の賃借権を取得します。

 

この賃借権の取得に当たっては、

所有者との間で工場用地の賃借権の設定契約を締結し、

譲渡証書を作成し、登記をします。

この際に現在の土地の所有者が、真に土地を所有しているのか、

についての調査が必要です。

しかし、インドには登記簿謄本がなく、登記された譲渡証書を手掛かりとして、

30年前までの土地の所有者を確認する必要があります。

 

ところが、インドでは譲渡証書の登記の状況や保管状況など極めてずさんです。

インドの弁護士の協力をえて、調査をしたとしても、あとから真の所有者が現れて、

あなたの会社が取得した土地を、本当は俺のものだ、

出てゆけと主張することがあります。

その者との話し合いがまとまらないと、裁判に巻き込まれて、仮に勝訴したとしても、

20年以上もの間の時間と費用を失うことになります。

 

民間からの土地の取得や賃借は避けたほうが無難です。

 

それでは州の日本の企業のために整備した工場用地を取得すればよいのでしょうか。

このお話は明日します。

 

どうですか。

 

お役に立ちましたか?

 

 

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