弁護士を雇う場合のリスク~インド進出成功術(7)

はじめに

インド進出企業の守護神、経験30年の国際弁護士原口です。
今日はあなたの会社がインド進出にあたって弁護士を雇う際の落とし穴(だれをいつ雇うか)についてお話をします。

これまで6回にわたってお話をしてきたように、あなたの会社がインドに
進出するにあたっては数々の落とし穴に落ちないように気をつけて進む必要があります。

さもないと、20年以上の訴訟に巻き込まれ、5億円を喪失し、8億円の損失を計上することにもなりかねません。
そのようなインド進出の落とし穴を発見し、回避することはあなたの会社だけで可能でしょうか。

不可能です。では誰に落とし穴を見つけてもらうべきなのでしょうか。
弁護士です。

では日本とインドの弁護士のどちらを選びましょうか。
あなたの会社がインド進出が初めてであれば、日本の弁護士でしょう。
ではいつ選ぶべきでしょうか。
今すぐです。

誰に頼むべきか

初日にお話をしたように、インドは英国流の契約社会で、訴訟社会です。
インド人の3人に1人は英語を話しますし、インドのビジネスは英語の交渉と
英文の契約書を作成するところから始まります。
あなたの会社で英語ができる人がいない場合はもとより、英語ができたとしても、
インドの法律を踏まえて、英語で契約の交渉が出来なければ、インド人との交渉や英文契約書の中に潜む落とし穴を見抜くことは不可能です。

また、訴訟社会のインドでは弁護士も沢山います。カルカッタの裁判所から1キロ圏に、1,500もの法律事務所があります。しかし、その弁護士事務所の多くは、依頼者から預かったお金を持ち逃げしたりして、短期間で雲散霧消しています。
100年以上続いている弁護士は1事務所だけです。

あなたの会社がインドの弁護士事務所の良し悪しを見分けるだけのネットワークを現地に持っていなければ、日本の弁護士に依頼をすることが無難です。日本の弁護士は、厳しい試験を合格し、単位弁護士会の厳しい監督下にあり、

インドの多くの弁護士と比べ、はるかに信頼できます。もっとも全ての日本人の弁護士が、
日本企業の国際進出に精通しているとはいえず、インド全体に深く、広い人脈を有しているとは限りません。日本人のインド専門弁護士を雇うことが必要です。日本人のインド専門弁護士でも、日本企業の国際進出を支援する経験の豊富な弁護士はほとんどおりません。

日本人のインド専門弁護士の中でも、日本企業のインド進出の支援の経験の豊富な弁護士を
雇うことが望ましいといえましょう。

いつ頼むべきか

今日までお話をしてきた色々なインドの落とし穴は、はまってしまうと
後から抜け出すことは不可能です。

たとえば前回の○○でもお話をしたインドでは労働者を解雇できないというリスクも、
そのような労働者を雇ってからでは解雇することができません。

工業用地も取得してしまった後に、真の所有者から立ち退き請求が来たり、土地の強制収容者から追加の補償請求が来てからでは遅すぎます。

インド子会社のコストと同額で、インド子会社の製品を購入し、インド税務当局から税金の追徴が来てからでは間に合いません。インド人と2-3枚の契約を交わしただけで取引をし、口約束を反故にされてからでは、どうすることもできません。

あなたがインド進出を考えた時点で、すぐに弁護士を雇う必要があるのです。

最後のさいごに

これまで6回のブログに亘りお話をしてきましたように、インド進出には落とし穴があります。

インド進出コンサルタントや州政府の甘い話を真に受けてはいけません。インド進出の落とし穴をあなたの会社自身で発見し、回避していくことは不可能です。

弁護士を雇い、弁護士に落とし穴を発見してもらい、回避策を見出してもらう必要があるのです。

その弁護士は、日本の弁護士方がよいでしょう。英語に堪能で、日本の海外支援の経験が豊富で、現地に深く、広い人脈を有する弁護士が理想です。

その弁護士を雇うのは今です。

問題が生じてから、弁護士を雇うのでは遅すぎます。
問題が生ずる前から、弁護士を顧問として採用し、インド進出にあたっての重要な判断
(どの州に進出し、どのような事業を行うのか、誰とどのような契約をするのか等)毎に、
弁護士に相談をすべきなのです。

インド人と契約書を交わしたり、工場用地を取得したり、インド人を大量に採用する際には、
事前に弁護士に相談をする必要があるのです。

どうですか。
お役に立ちましたか?

近い将来、私のセミナーや個別相談等でまたお会いしましょう。
あ、必要があれば、いつでも連絡をください。

私のメールアドレスはinfo-kharaguchi@haraguchi-law.comです。
また、私の電話番号は03-6205-4404です。

お気軽にご連絡ください。

原口総合法律事務所インド進出企業法務顧問室
インド進出企業の守護神
弁護士 原口 薫

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